パワーメーターの価値

パワーメーターを導入してそろそろ1ヶ月が経とうとしています。

実際にパワーメーターと言う道具を使って見ることでパワーメータについて色々と知る事ができました。僕はパワーメーターを使う以前に持っていたパワーメーターに対するイメージや考えは間違っていたと言う事にも気付きました。

パワーメータと言えば、今自分が何ワットのパワーで走っているのか?を知る事が出来て、たとえばスタートからゴールまでの平均ワットがいくつで、どのくらいの強度で練習したか?自分の力がどれくらいあるのか?が分かる道具なのだと・・・。

だったら、たとえばこの勾配の坂を何分で登るには何ワット必要だと言うデータを事前に仕入れておけば、そのタイムを調整することによって負荷を変化させ、ターゲットにしているトレーニングレベルの練習を行えばパワーメーターを付けているのと同じ練習ができるのでは?と、以前は考えていました。

パワーメーターを付ければ事前にそういう計算をする必要なく、たとえばツーリングの合間にトレーニングを組み込むと言ったような事が出来る便利があるかもしれないけど、その程度の便利に高いお金を払うのは・・・。というのがこれまでの僕の考え方。

確かに、このイメージは完全に間違いとは言えないのかもしれませんが、パワーメーターにはもっと重要な「速く走る為にはどうしたらいいのか?」を的確に示してくれる道具だと言う事を理解しました。

それを知るためには、パワーデータを解析するソフトが重要です。僕はWKO+と言う解析ソフトを使っていますが、フリーソフトのゴールデンチーターなどでも同じような機能が付いてると思うので、解析ソフトを使ってない方は是非ダウンロードして使って見ることをお勧めします。

このデータは、僕が毎週行っている朝練のデータの調子の良いと感じた日と調子が悪いと感じた日のデータで、その中の似通った1Lapをそれぞれ抽出して比べた図です。赤い点と黄色い点がありますが、赤い点が調子が悪いと感じた日に走った時のデータ。黄色い点は、調子が良いと感じた日のデータです。

両日ともにアベレージパワーは270w程度です。

細い灰色の十字線の右側がケイデンス90rpm以上。真ん中の黄色い湾曲した線よりも上が270w(FTP)以上のパワーで、線のしたが270w以下です。茶色とオレンジ色の線の間が、L4の強度範囲です。

この図を見ると、調子が良いと感じた日(黄色の点)は、ほとんどがケイデンス90rpm以上の位置(右側)に分布していて、調子が悪いと感じた時のデータは、ほとんどが90rpm以下の位置(左側)に分布しています。

アベレージケイデンスも、調子が良いと感じた日は95rpmで、調子が悪いと感じた日は89rpmです。両日とも平均パワーは、ほぼ一緒の270wだったと言う事を忘れないでください。


次のグラフは、ケイデンスとスピードの関係を表したグラフです。

縦がケイデンスで、横がスピードです。先ほどと同じく、調子が良いと感じた日が黄色で調子が悪いと感じた日が赤の点です。これをみてわかる事は、調子が良い日は速度を上げるのに回転数を上げて対応している点。それに比べて、調子が悪い日は速度を上げるために回転数では無くシフトチェンジをして対応している点です。

何となくこの分布を見ると、シフトチェンジしてるタイミングも見えて来ます。調子のいいと感じた日はどうやらトップのギア(12T)は使って居ないようです。このことから、僕の脚質は重いギアが踏める=調子が良いではないと言う事が分かります。

でも人間の感覚的に調子が良い悪いって感じても、パワーは270w出ているんだからどちらの走り方でも良い気がします・・・。ここがパワーメータの落とし穴と言うか、パワーが出てるからOKとしてはダメな点で、それは解析ソフトを使う事で見えてくるのです。

実は両日とも270wで走っていますが、調子が良いと感じた日のタイムは平均ワットが同じでもタイムが10秒速いのです。(気温は両日とも-6℃)

と言う事は、調子が悪くて高回転を回すのが辛いと感じ、シフトチェンジを増やし重いギアを踏む事でパワーを維持した走りをした日は、当然調子がよく脚も良く回って高回転まで伸び続けることでパワーを出せる日よりもシフト回数が増えると言う事になります。

それは同じパワーで走ってもタイムロスにつながると言う事がこのデーターを見ることで分かります。言いかえれば、クランクを回す為の力がたとえ一緒でも、そのパワーが路面に伝わるまでにロスが多い走りと言う事が言えます。パワーメーターを付けてそのデータを解析することでこんなことが詳細に分かるんです。

他にもこれらを応用すると、10分のヒルクライムケイデンスいくつで回すのが速いとか消耗が少ないとか、ヒルクライムレースのように長く坂を登る場合はケイデンスいくつが自分の脚に適してるか?なども知る事ができます。

たとえば、「次のレースの上り坂は、5キロの坂が2回だからこういう走り方が省エネになる」とか「A地点で消耗するような走りになってしまった場合の対策」など事前に自分の脚質と比べ対策を知る(考える)事が出来るのもパワーメーターの強みです。

このデータから今回学ぶ事は、調子が悪いと感じてパワーに頼った走り方にはロスが出てしまうと言う事がわかりましたので、調子が悪いと感じてパワーが出しにくい時はどういう走り方をしたら良いんだろう?と言う次の疑問がわいてきて、それらを解析することによって走りにバリエーションを付ける事が出来るようになる訳ですね。

これがパワーメーターを付けてトレーニングをする価値です。そのためには当然解析ソフトを使いこなさなければならないので、グラフや図を見て走りを分析する能力も必要になるんですね。

他にも、1時間のトレーニングをした時、平均ワットがいくつだったか?はあまり重要ではありません。解析ソフトを使ってデータを見直すことによって、どのタイミングで補給を取ればよかったのか?どのくらいの負荷から始めればもっと効率よく走れたのか?などを調べ知る事が重要です。

数字だけで、何分何ワット出た!というのも確かに大切かも知れませんが、レースに勝つためのパワーメーター活用法は少し考えるだけで、キツイトレーニングをこなして長い時間を掛けてFTPを上げるトレーニングをしながら、明日のレースで少しでも楽に上位にいける方法や近道を知る事もできるのです。


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