カーボンという素材

其の1

以下のエントリーは、過去に掲載した記事を「雑学」カテゴリーにまとめるためのUPです。

僕のピナレロパリカーボンは、46HM3Kと言うカーボン素材で作られているらしい。パリの上位モデルであるプリンスは50HM1K。そのほかには、FP3などの30HM12K・FP6の30HM3Kがある。

上位モデルになればなるほど良い素材を使っているんだろうなぁ?って事は何となくだけど想像できる。でも、46って数字が何を示すのか?HMってなんだろ?3K?具体的にどういう違いがあるのか分からない。

って事で・・・知りたがりの僕は調べてみました。

まず見た目に一番分かりやすい、1K・3K・12Kから。これはカーボン繊維の編み方の違い。

  • 1Kは1000本が1束。
  • 3Kは3000本が1束。
  • 12Kは・・・・想像の通り12000本が1束になった編み方。

凄く砕いた説明の仕方をすると・・・

  • 12Kはセーター。
  • 3Kはトレーナー。
  • 1Kはシルクのシャツ。

ってイメージで理解すると分かりやすいかもしれません。

このセーター・トレーナー・シャツどれも超高級品と思ってください。これらには、どれが高性能とかではなく、何処にどういう目的で使うか?が重要です。衣類に例えて何となくイメージがつくかもしれませんが、セーター(12K)は伸び縮みしてしなやかでが、繊維を沢山使うので重いです。トレーナー(3K)はセーターよりもしっかりしていますがシルクのシャツより重いです。シルクのシャツ(1K)はしっかりしてて尚且つ軽いです。しかし、それぞれに勝っている点があるので、適材適所に使うことでその性能を生かすことが出来ます。大体これで1K・3K・12Kの違いは理解できました。

次に、織り方(1K・3K・12K)に加えて、織るための繊維にも種類があります。これが、プリンスの50HM・パリの46HM・FP3などの30HMの示すグレードです。○○HMのHMは、ハイモジュラスカーボンのHMで、カーボン繊維の種類では高弾性率タイプと言う分類に属す事を示しています。これはカーボンの種類で、他には以下のようなグレードが存在します。

これに関してもどれが高性能と言うよりかは、どれをどういった用途に使うか?が重要です。しかし、価格からすると超高弾性率タイプ炭素繊維(UHM)が一番単価が高いようです。

そして最後に○○HMの○○の部分。ここには数字が入りますが、この数字が高くなるほど引張弾性率が高くなります。一般的に単位はPa(パスカル)で表されますが、ここではtf/mm2で表されています。ピナレロの素材説明の中で30トングレードや50トングレードと表記されているのはそのためです。引張弾性率が55を超えると超高弾性率タイプ炭素繊維(UHM)と言う事になるそうなのでパリやプリンスは55以下ですからHMとなっています。

このピナレロの素材表記に書かれている数字(30・46・50)が高くなればなるほど引張弾性率が高くなります。(硬くなる。)路面から伝わる凹凸などの振動の伝わり方と言う点で言うと30tf/mm2グレードは50tf/mm2グレードに比べてマイルドに伝わるといえると思います。逆に50tf/mm2グレードは30tf/mm2グレードに比べて路面の凹凸が鮮明に伝わる特性になるようです。(これは何となくの想像の通り?)

ちなみに現在一番引張弾性率が高いカーボンは930GPa(95tf/mm2)というUHMで理論的にカーボン素材の引張弾性率の限界といわれている1080GPa(110tf/mm2)にあと150GPaという素材の開発に成功しています。このカーボンは1Kg辺り30万円すると言う事なので、1つのロードバイクフレームを作るのに、単純計算で素材が30万円してしまうという事になります。実際にこの素材でフロントフォークも含めたフレームを作った場合驚くような金額になりそうです。

今回のエントリーではピナレロのカーボン素材について書きましたが、他のメーカーのフレームの中にはHMカーボンではなく、引っ張り強度の強いカーボンを使ったりコンポジットを使って作られているフレームも存在します。

そして、フレームの中身は12Kや単方向炭素繊維を使用して、外の1枚だけ3Kを使い見た目をよくしたフレームも存在します(化粧カーボン)。使ってるカーボンが1Kなのか?3Kなのか?12Kなのか?は見ために分かりますが、その中身は違った素材を使っていることもあり、BBだったりヘッドパイプといったような大きな力が加わる部分に外見は3Kでも違った素材を組み合わせてるという場合もあるようです。

カーボンフレームは奥が深いです。ただ硬ければ良いというわけでは無いので、素材を知り用途によって正しい選択をする。そして、完成したフレームにはそれぞれの味付けがあります。これもまた乗り手が選び自分にあったものを選択する。こういうことを知ることで、カーボンフレームに対する見方に深みが出て選ぶのも楽しくなるんじゃないかな?と思います。


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