雨のタイヤ空気圧

タイヤの空気圧ってどれ位が適正なんだろう?。

タイヤの銘柄によって違うけど、僕はチューブドタイヤ(チューブラー含む)は、6〜7気圧の間。チューブレスは4.5〜5.5気圧の間で調整してます。自転車に限らず、タイヤには適正な空気圧と言う物が存在します。

それを知る事で、転倒のリスクを回避できたり、レースを少し楽で有利に進められるとしたら興味が出るはずです。地面との唯一の接点であるタイヤを知る事は、レースに限らず乗り物に乗る上でとても重要な事です。

タイヤがグリップする仕組み

さて、タイヤには適正な空気圧が有ると言う事は理解されていると思います。そして適正な空気圧で走ってると言う前提で、タイトルにも書いた「雨のタイヤ空気圧」に付いて考えて行こうかなと思います。

まず結論から言ってしまうと、ロードバイクに限っては、僕は雨でもドライでも1気圧程度ならば空気圧を変える必要なしと考えています。

じゃぁ乗り物は限定せず、雨の走行をする場合タイヤの性能を上げるため一般的にタイヤの空気圧は、上げた方がいいのか?下げた方がいいのか?どちらなのでしょうか?。どちらだと思いますか?

正解は空気圧を上げた方が理論上グリップは上がります。

その理由は、タイヤは地面と接地すると重力によってタイヤより上の物を支える為に変形(凹む)します。自転車のタイヤも指でぐっと押すとタイヤが変形しますね?。それと同じ事が路面とタイヤが接地して居る部分でも起こっています。指でグッと押しただけで変形するのですから、人間がその上に乗ったら指で押す以上に変形する事は想像できると思います。タイヤが変形して路面と接地する面積は、タイヤの空気圧によって変化します。空気圧を低くすれば、タイヤが沢山凹む事で路面との接地面積が増えます。逆に空気圧を高くすればタイヤの変形が少なくなり接地面積が減ります。

正確に言うと少し語弊があるのですが、接地面積が増えると言う事は、グリップは増しますが走行抵抗が増えます。逆に接地面積が減る事になればグリップが減って走行抵抗も減ります。なので、この2つ特性の範囲で自分がタイヤに求める性能の一番バランスした空気圧が適正な空気圧と言えます。(ここで言う空気圧を減らす増やすは、タイヤ標準空気圧の範囲内とし、路面の状況は考えないものとします)

しかし状況によって適正は変わります。例えば、車でA地点からB地点まで燃費良く行きたい場合は、空気圧を若干高くして走行抵抗を減らせばいいでしょうし、できるだけ速く行きたい場合は空気圧を若干低くしてグリップを重視する事でコーナリング性能やブレーキ・加速性能を上げて走ると良いでしょう。

ココから本題です。ドライの場合グリップを上げる為に空気圧を下げるのに、ウエットコンディションでは空気圧を上げる方向にするのか?と言う矛盾が生じます。

それを理解するには、まず雨が降ると何故滑りやすくなるのか?を理解する必要があります。普通ドライコンディションの場合路面とタイヤが直に接地してます。しかし雨が降ると路面とタイヤの間に水の膜ができます。タイヤはグリップするためにまず路面と接地しなければならないので、邪魔な水をかき分けて(水を排水)路面と接地して初めてグリップします。ですから車のタイヤには雨の日にスリップしないように水を排水するための溝が付けてあります。ココまではある程度理解できると思います。

要するに、路面が濡れている場合はタイヤに仕事をさせるためにまず邪魔な水を排水する必要がありますので、ドライの時よりもタイヤを路面に強く押しつける力が必要になります。路面にタイヤを押しつける加重をコントロールする事ができない乗り物で濡れた路面を走らなければならない場合は、タイヤの接地面積を減らす事でタイヤの面圧を上げ同じ加重をよりタイヤの1点に集中させる事ができます。

例えば、同じ重さで同じスピードの2つの大きさの異なるボール(例えばゴルフボールとバレーボール)が当たった場合痛いのはどちらか?は想像できると思います。同じ力でも、当たる面積の小さなボールが当たった方が痛いのと同じように、接地面積が少ない方が、面圧が上がりタイヤを路面に押しつける力が増します。

タイヤを押しつける力が増すと言う事はタイヤと路面の間の水を排水する力が増すので、ハイドロプレーニング現象が起きにくくなりますから、雨の日は空気圧を上げた方がいいと言う事になります。

最後に、話を自転車に戻します。理屈では自転車も同じゴムのタイヤを路面と接地させ走る乗り物なので、ここまで書いた通りウエットコンディションでは空気圧を上げた方がタイヤのグリップ性能は上がるのは間違いないと思います。しかし、タイヤの接地面積はスポーツカーのレーシングマシンで赤ちゃんの手の平程度と言われています。それに比べて自転車の接地面積は更に小さく、ドライ時に7気圧入れた空気圧を0.5気圧程度変えても、タイヤの変形にはさほど大きな変化が無い事が想像できます。7気圧を10気圧に増やした場合は、形状に大きな変化ができて面圧が大きく上がるかもしれませんが、タイヤが路面の凹凸で跳ねてしまう事が水以上にグリップ低下を招く結果となる事が想像できます。

ウエット路面では、雨自体が走行抵抗になるし、雨量によって路面状態は刻々と変化し、ドライの時のような安定した状況で走る事ができません。ドライ路面のように安定した状況で走り続ける事ができるなら0.5気圧による変化を体感する事ができますが、雨の場合はその変化を正確に把握する事は難しいと思います。

でも中には路面状況を細かく感じ取る力の強い人もいるかもしれません。

路面がうっすら濡れている程度の場合は空気圧を低くした方がヒステリシスロスが増え少しだけグリップが安定するかもしれません。川のように路面を水が流れていたり水たまりを走らなければならない場合は、排水性が高い方が少しだけ安定するかもしれません。しかしレインコンディションの場合は場所によってその状況に変化があります。

感じ方は人それぞれ。それでも空気圧を上げた方がいい・下げた方がいいと思う方もいると思います。安全に走る為には、「こうした方が安心」と思える気持ちも大切だと思います。しかし度を超えたセッティングは大きなトラブルになりかねませんので、調整の範囲を理解する事はお忘れなく。


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